要介護者が増え続けている社会状況の中で、介護サービスを提供する事業所の数は増えている傾向にある。しかし、新規事業所をオープンする時の準備で最も困難を極めているのが、求人募集をしてもなかなか人材が集まらないということだ。不景気により、働く意欲を持ちながらもなかなか仕事に就くことができない人が多い中で、介護業界が人手不足に陥るのには、業界ならではの理由があるので、ここではそのことについて語ってみたいと思う。
介護の仕事は、心身機能が低下した要介護者の日常生活を支える仕事であり、排泄や入浴、食事介助をはじめ、日常生活全般に関わるケアを行う業務である。そのため、入所施設であれば、24時間体制でケアサービスを提供することになるので、夜勤を含めた変則のシフトをこなすことになる。しかも、介護の仕事は日勤も夜勤も体力を必要とするうえに、要介護者のケアは命に関わる大切な役割を担っているために、精神的ストレスを感じるケースも少なくない。したがって、実際に働いてみたものの、長く続かないケースが少なくないようだ。
さらに、介護の仕事は大変だと認識されているわりには、給与や雇用条件が決して良いとは言えない状況にあることも、離職の要因になっている。介護事業所の収入は保険による介護報酬と利用者から徴収する利用料のみであるため、収入の上限が決まっているのだ。そのため、介護職員の処遇改善に関しては国や地方自治体もその対策に乗り出してはいるが、容易に改善されないため、人材不足を招いていると言われている。【参考サイト:介護業界の今を知る】